寺本 元右衛門(てらもと もとえもん) 生没年不詳

  • 大田市温泉津町に生まれる。「温泉津むかしばなし」のなかに、「水を飲む龍」という題で名工「元さん」の話が載っている。

石見の高野山といわれる、高野寺の経堂の壁に「しっくい」でつくられた龍があります。だれが見ても一目で名工の作とわかるほどのりっぱな龍です。
むかし、この龍が夜になると、毎晩、波積 (はすみ)の岩龍寺滝へ水をのみに出るというのです。歩いたあとは作物はめちゃくちゃになるし、見たものはびっくりして腰をぬかしてしまうありさまでした。寺はこまったあげく、龍の両方の目に大きなくぎをうってしまいました。それからというものは、水をのみに出なくなりました。
 この龍の作者は吉浦の寺本元右衛門という名工だったといわれています。この元右衛門はのちに人にねたまれて、「いながす」(毒草)を食べさせられて精神病にかかってしまいました。それからは吉浦の浜辺の西の端にある穴に住んで、あわれな一生をおくったというこです。吉浦の人はこの穴を今でも「元の穴」と呼んでいます


このむかしばなしにある「龍」は昭和38年の豪雪で経堂もろとも倒壊してしまって残っていない。唯一、写真一枚が残されている。
実はこの話の中にある「元さん」を見た人がいた。「私が子どもの頃に、元さんちゅう人がワーワー言いながら歩きょって怖かった。師匠より腕が立ったので、その女房に妬まれて毒を飲まされたげな」というショッキングな話が残っている。




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